三月の転校生

中学生雑誌nicolaに関する日記

Pichileリニューアルの真相

ピチ読の学年調査

f:id:GYOPI:20150628021941p:plain:right今月はじめに、三月の転校生が実施した「Pichile(ピチレモン)読者の学年層アンケート」の結果がまとまりました。

また、ちょうど今から3年前となる2012年に実施した、同じ調査の結果も、手元にあります。

そこで今日は、これら2つの調査結果を比較することで見えてくる、この3年間における主なピチ読の学年層の変化を元に、今回のPichileリニューアルの真相に迫ります。

2015年のピチ読学年層

まずは、最新のピチ読の学年層の一覧です。グラフの通り、現在の読者に最も多いのは中1で約30%。これに中2、小6がそれぞれ20%で続きます。

また、ちょっと驚いたのが、意外と中3以上も多いということ。実際、中3層の17%に、高1層の12%を合わせると、ほぼ30%となり、年長層だけで、現在のピチ読の約1/3を占めることになっています。

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学年層比較(2012-2015)

では、3年前はどうだったか。下のグラフは、2012年の読者層と、現在の読者層とを、学年別の割合から比較したものです。(緑色の棒が2012年、赤色が2015年)

以下、これを使って、3年の間におけるピチ読の学年層の変化について、詳しく分析していきます。

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共通点

まず、共通点から。3年前、現在ともに一緒なのは、おおよその形で、グラフが山型になっていること。

それも、真ん中の中1を頂点に、そこから左右の中2&小6層が高くなっていること。

しかも、2番目に高いのが右側の中2で、3番目に高いのが左側の小6といったところまで、全く同じになっています。

つまり、2012年も2015年も、中1を筆頭に、中2&小6が多いというメーン読者層の三学年は不動なのです。

相違点

一方で、この3年間に大きく変化した点もあります。それが、各年度における全体に占める構成バランス。

分かりやすくいえば、全体的に見て、グラフの重心が、より右に偏っているか、それとも左よりかという点です。

もっとぶっちゃけていえば、読者が高齢化しているのか(右寄り)、それとも若返っているのか(左寄り)です。

ピチ読の高齢化問題

すでに書いたように、2012年も2015年も、中1を頂点に小6&中2がメーンという順番は、今も昔も一緒です。

しかし、その内容を細かく見てみると、2012年(緑グラフ)のほうは、他の学年層に比べ、メーン3学年が圧倒的に多いのに対し、2015年(赤グラフ)は、たしかにメーン3学年が多いことは多いのですが、そのバランスはというと、完全に右寄りになってきているのです。

世代別の増減

具体的な数字でいうと、2012年に比べ、現在は、小5が5%も減ったのをはじめ、小6が4%の減少。さらに中1&中2世代では、それぞれ2%のマイナス。このように、若い世代は全て割合を減らしています。

一方で、年長世代の中3&高1はというと、それぞれ6%も増やしているため、まさに全体のバランスが右に傾いているのです。

で、これは何を意味するか。若い読者の割合が減って、年長の読者の割合がどんどん増えているといえば、もちろん読者の高齢化に他ならないわけです。

高齢化の原因

では、なぜ新しい読者の割合が減って、年長読者の割合が増えているのか。

理由は単純で、一度ピチ読になったら、そのままけっこうな間、長く読み続ける人が多い反面、ニコプチやキラピチ、JSガールといった小学生雑誌を卒業した若い世代の新規読者が、なかなかピチ読にならず、ニコラやセブンティーンに行ってしまっているためと考えられます。

ニコラとの部数の差が2倍以上に開き、ついに10万部を切ってしまったPichileが、何とか休刊にならず、踏みとどまっているのは、ひとえに古い読者、つまりは、ピチ読歴の長い読者が支えているからなのです。

リニューアルの趣旨

そこで話は、今月号からのPichileのリニューアルにつながってきます。今回の一大リニューアルの趣旨はなんだったか。

「今月からピチレモンは、ちょっと大人にリニューアルします」(2015年7月号7ページ)

まさに、高齢化している読者、具体的には、主にピチ読の多数を占めるようになりつつある中3以上の読者をターゲットにしたものといえそうです。

高校生も読むに耐えうる誌面づくり。高校生が買うのに恥ずかしくない表紙。もちろん、中身&企画も。

こうして、ピチ読歴の長くなった中3や高1はもちろん、あわよくば、それ以上の高校生読者をもつなぎとめたい。そういった狙いが見えてくるのです。

ピチモも高齢化

さて、読者が高齢化するなら、それに伴って、専属モデルも高齢化する必要があります。そもそも、中3&高校生の読者を対象とした雑誌の専属モデルが小学生というのでは、お話になりません。

すると必然、これまでのピチモの定番だった「妹系」「アイドル系」「小柄系」よりも、高身長でスタイル抜群、オトナっぽいルックスにクールな雰囲気のコが、より重視されるようになってくるはずです。

で、そんな編集部の方針の変化を、端的にあらわしたのが、今年のオーディションの結果ということになります。

史上初の高1合格

それはいうまでもなく、ピチモオーディション史上、初となる現役高校生の合格者が出たということ。

具体的には、青島心ちゃん&中澤瞳ちゃんの2人です。高1というと、以前なら定期のピチモ卒業時期まで、残すは10ヶ月といったところ。

しかし今、せっかくオーディションで取ったのに、わずか10ヵ月後には、卒業生として放り出すでしょうか。あえて高1を取ったのだから、ちゃんと理由があるはずです。

ピチモの定年延長

それは何かといえば、当然に卒業時期の延長です。去年は、山口乃々華ちゃんたちの世代の卒業を、一気に8ヶ月伸ばしたばかり。今年の福原遥ちゃん世代も、すでに4ヶ月延長中で、おそらく年内は卒業しない感じ。

こうして、世代ごとに、じょじょに卒業時期を遅らせて、より長く現役でいられるようにする。高2では卒業させず、高3まで引っ張る。

編集部の一連の方針は、今年のオーディションで、高1を2人も採用したことからも明らかです。

リニューアルの真の狙い

読者層の年齢の高まりにあわせ、ピチモも年齢を高める。読者層にあわせ、雰囲気をオトナっぽくする。

その結果、いま以上に古い読者層とつなぎとめられるようになり、同時に、"ちょいオトナ路線"に興味を抱いた新規の読者も一定数を獲得できれば、自然と部数も回復していくはずです。

ただし反面、「中途半端なオトナっぽさ」が新規読者から敬遠されて、ますます若い世代を減らし、かつ、なじみの古参高齢読者からさえも「こんなのピチレじゃない!」とそっぽを向かれ、つなぎとめられなかったら、リニュ大失敗というリスクも抱えることになります。

まとめ

成功するか、失敗するかは別として、とにかく今回のPichileの"オトナっぽリニューアル”には、大きな意味があり、部数回復のための「1つの作戦」としては十分に説得力があることは分かってもらえたと思います。

あとはこれに結果が伴うかどうか。7~9月期の部数が出るのが、今年の11月ということで、あと5ヶ月ちょっと。

部数はもちろんですが、読者層の変化についても、あわせて注目していきたいところです。